PLC 主導のラベル自動印字 ― コマンドファイル自動転送システム
繊維製品メーカー様(新潟県内) (繊維製品の製造)
- KEYENCE KV-X
- C# / .NET
- Windows FTP
- EASY LABEL
- 常駐サービス開発
製造ラインの制御盤(PLC)からの指示だけで、製品ラベルの印字内容を自動的に切り替えて印刷したい。そんなご要望に対し、当社では既存のラベルプリンタとプリンタ用ソフトをそのまま活かす方針で、PLC 側のプログラムと制御 PC 側の常駐サービスを新規開発し、印字までを全自動化しました。
概要
- 業種:繊維製品の製造(新潟県内)
- 対応領域:装置 PLC ソフト開発 / Windows 常駐サービス開発 / ネットワーク構築
- 対象設備:ラベルプリンタ(KSW-1500Plus3)+ ラベル発行ソフト EASY LABEL (Pro)
- 使用技術:KEYENCE KV-X シリーズ、C# / .NET、Windows 標準 FTP
- 対応年:2026 年
課題
お客様では、製品ラベルの印字内容を PLC 側から指定し、ライン稼働に合わせて自動で印刷したいというご要望をお持ちでした。
使用中のラベル発行ソフト(EASY LABEL)には、指定フォルダに印字内容を記したコマンドファイル(テキスト形式)を置くだけで自動印刷する機能があります。しかし運用面で次の壁がありました。
- ラベル発行ソフトは FTP サーバを直接参照できず、参照先は「ローカルフォルダ」または「UNC パス」に限られる(メーカー回答による制約)。
- そのため、PLC 内(SD カード)で生成したコマンドファイルを、確実に・自動で PC 側の参照フォルダへ届ける仕組みが別途必要になる。
- 現場の作業者に余計な操作を増やさず、PC 起動後はノータッチで動き続ける信頼性が求められる。
ご提案・実施内容
当社では、既存のプリンタ資産に手を入れず、「PLC の標準機能」と「軽量な常駐サービス」を組み合わせた二段構成をご提案・構築しました。
(コマンドファイル自動転送システム 構成図)
1. PLC 側 ― ビットトリガでファイルを送信
制御 PLC(KEYENCE KV-X シリーズ)に、標準ファンクションブロックを用いた FTP 送信プログラムを実装。ビットトリガの立ち上がりを合図に、SD カード内のコマンドファイルを制御 PC へ転送します。転送は一時ファイル名で行い、完了したファイルだけを正規名に切り替える方式とすることで、書き込み途中のファイルが読まれてしまう事故を防いでいます。
2. 制御 PC 側 ― 受信から印字までを全自動化
制御 PC 側では、Windows 標準の FTP サーバで PLC からのファイルを受信。さらに、当社が C# / .NET で自作した常駐サービス「CommandFileMover」が受信フォルダを常時監視し、届いたコマンドファイルを EASY LABEL の参照フォルダへ自動的に移動します。あとは EASY LABEL が内容に応じてフォーマットを選び、プリンタへ印字指令を出します。
このサービスは PC の電源 ON で自動起動する常駐サービスとして登録され、作業者の操作は一切不要。動作の各ステップはログに記録され、万一の際も追跡できる保守性を確保しています。
導入のポイント
- 既存資産を活かした最小構成 ― プリンタもラベル発行ソフトも入れ替え不要。追加したのは PLC プログラムと 1 つの常駐サービスのみ。
- メーカー制約を設計で回避 ― 「FTP を直接参照できない」という制約を、いったんローカルへ確実に届ける二段構成で解決。信頼性を優先しました。
- 作業者オペレーションはゼロ ― PLC のトリガだけで印字が完結。PC 起動時にサービスが自動で立ち上がります。
- 外部ライブラリ非依存 ― 標準ライブラリのみで実装し、ライセンスや将来の保守面のリスクを抑えました。
使用技術・環境
- 制御 PLC:KEYENCE KV-X シリーズ(標準 FTP クライアント機能を活用)
- 制御 PC:Windows 11 / Windows 標準 FTP サーバ
- アプリケーション:C# / .NET による常駐サービス(インストーラ・ロギング機能付き)
- 連携ソフト:ラベル発行ソフト EASY LABEL (Pro)
装置 PLC からサーバアプリケーションまで、FA と IT をまたぐ「あと一歩」を一貫して形にするのが当社の強みです。「既存設備を活かして自動化したい」「メーカー標準機能だけでは実現できない連携がある」といったご相談も、お気軽にお問い合わせください。