MODS ENGINEERING

道路を挟んだ屋外通信を60GHz無線ブリッジで ― 架空・埋設配線なしでカメラ監視とリアルタイム通信を実現

食品メーカー様 (食品製造(工場インフラ・監視設備))

  • 60GHz
  • 無線ブリッジ
  • ミリ波
  • IPカメラ
  • 遠隔監視
  • 電波法

案件概要

  • お客様:食品メーカー様(工場)
  • プロジェクト:道路を挟んだ屋外排水設備の監視カメラシステムを、60GHz無線ブリッジで工場側ネットワークへ接続
  • 担当範囲:無線方式の選定・提案、現地での事前通信試験、機器選定、制御盤・屋根付きポールの設計製作、設置・配線工事、機器設定、現地試運転

背景と課題

工場の屋外排水設備を事務所から監視するため、既設では2.4GHz帯の無線IPカメラが使われていました。しかし通信環境が安定せず、肝心の監視に支障が出ている状態。「ちゃんと映る監視」に作り替えたい、というご相談です。

素直に考えれば有線化ですが、監視対象と建屋の間には道路。ケーブルを通すには架空配線か埋設配線が必要で、電柱やハンドホールの施工、道路占用の調整など、工事の負担が跳ね上がります。「配線せずに、有線並みの安定した帯域がほしい」——これが要件でした。

無線でやるなら、電波法の壁がある

屋外の無線通信には電波法関連法規の制約があり、身近な無線LANの周波数帯はそれぞれ課題を抱えています。

  • 2.4GHz帯:免許不要で屋外利用も可能ですが、Wi-Fi・Bluetooth・各種機器がひしめく混雑バンド。干渉に弱く帯域も限られ、実際に既設カメラはここで躓いていました
  • 5GHz帯:W52・W53チャネルは衛星通信や気象レーダー保護のため屋外利用が原則不可(近年一部緩和はあるものの条件付き)。屋外で使えるW56はDFS(動的周波数選択)が必須で、レーダー波を検知するとチャネル移動のため通信が中断します。常時監視やリアルタイム通信には致命的です
  • 60GHz帯(ミリ波)免許不要で屋外利用可、DFS不要。広帯域で高速、ビームフォーミングによる高い指向性で干渉にも強い。1対1の拠点間通信にうってつけの周波数帯です

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60GHzなら、道路をまたぐ配線工事なしで、法規制にも干渉にも悩まされない高速リンクが張れる——ここが当社の提案です。

対応内容

まず現地で電波を測る

ミリ波は直進性が高いぶん、遮蔽に弱いという明確な弱点があります。カタログ値を信じて決め打ちせず、設置予定位置にデモ機を持ち込んで事前通信試験を実施。約100Mbpsのビットレートが安定して出ることを確認した上で受注・設計に進みました。

試験からは設計への宿題も見つかりました。見通し線上の白色タンクを避けた設置位置の選定、そして「雪が付着すると不安定になり得る」という知見。雪国の屋外設備では見逃せないポイントです。

弱点を設計で潰す

  • 着雪対策:カメラ・無線ブリッジに屋根を設けた**屋根付きポール(当社製作品)**を設計。ミリ波の弱点である付着物の影響を物理的に低減
  • 見通し確保:マスタ・スレーブ間に遮蔽物のない設置レイアウトを計画
  • 構成:屋外対応の有線IPカメラ2台(PoE給電)→ PoEハブ → 60GHz無線ブリッジ(HYTEC INTER V1000、1対1、ビームフォーミング±40°/±20°、無線局免許不要)→ 工場側LAN。両側に小型制御盤を製作し、電源・PoE給電を集約

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「Ethernetの延長」だから、カメラ以外にも使える

60GHz無線ブリッジは透過的なEthernetブリッジとして動作するため、載せられるのはカメラ映像だけではありません。PLC間のリアルタイム通信、設備データ収集など、有線LANと同じ感覚で拠点間を接続できます。「道路や敷地の向こう側とつなぎたいが、配線工事はしたくない」という場面全般に効く構成です。

結果

  • 架空・埋設の配線工事なしで、道路を挟んだ排水設備と工場側を約100Mbpsの安定リンクで接続。既設2.4GHzカメラで生じていた監視の支障を解消しました
  • 電波法の制約を整理した方式選定から、事前電波試験、着雪対策の製作品まで、雪国の屋外案件としての勘所を押さえて設計・施工しました
  • 監視カメラにとどまらず、今後のPLC間通信・データ収集にも使える拠点間ネットワークの土台ができました

「配線できない場所とつなぎたい」——そんなご相談こそ、電波法の整理から現地試験、施工までワンストップで対応する当社の出番です。

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