AGF(自動フォークリフト)とシートシャッタの連携制御 ― 要件定義から無線インフラ構築、既設シャッタの解析まで
食品メーカー様 (食品製造(工場内物流の自動化))
- AGF
- AMR
- AGV
- 自動搬送
- シートシャッタ制御
- Modbus TCP
- 無線LAN構築
- 物流自動化

案件概要
- お客様:食品メーカー様(工場)
- プロジェクト:AGF(Automated Guided Forklift/自動フォークリフト)導入に伴う、走行経路上のシートシャッタ4基の自動開閉システム構築と、AGF用無線通信インフラの整備
- 担当範囲:要件定義、システム設計・提案、AGFメーカーとの通信仕様すり合わせ、制御盤・リモートIO設計製作、既設シャッタの制御解析・改造設計、無線インフラ構築(配線設計・電波測定・AP設定)、PLCソフト開発、現地試運転
背景と課題
工場内の荷積み・荷下しをAGFで自動化するプロジェクト。しかしAGFの走行経路上には、ひもスイッチや押しボタンで人が開け閉めしてきた既設のシートシャッタが4基。人が開けていたシャッタを、無人のフォークリフトのために誰かが開けなければならない——ここが本案件の出発点です。
課題は制御だけにとどまりませんでした。
- 既設シャッタは3社3様:4基のシャッタはメーカーがバラバラで、うち1基は機種すら不明。図面はほぼ残っておらず、過去の改造も複数
- 無線インフラがない:AGFと上位のRCS(Robot Control System)は無線で通信するが、経路をカバーする無線環境が存在しない
- 関係者が多い:エンドユーザー様、AGFの商社・メーカー、複数の施工協力会社。誰が何をどこまでやるのか、スコープと責任分界の整理が不可欠
対応内容
要件定義とシステム提案 ― 「誰が・何を・どこまで」を先に固める
最初に取り組んだのは、システム構成と責任分界の設計です。AGFメーカーと通信インターフェイス仕様をすり合わせ、AGF制御系ネットワークとシャッタ制御系ネットワークを別セグメントに分離する構成をエンドユーザー様へ提案。調査・手配・設置・配線・試運転を項目×担当者のスコープ表に整理し、多数の関係者が迷わず動ける土台を作りました。

システム構成
- RCS ⇔ 当社PLC:Modbus TCP(有線)でシャッタの開閉要求・状態をやり取り
- PLC ⇔ シャッタ4基:EtherNet/IPのリモートIOを各シャッタ脇の制御BOXに分散配置し、天井転がしのCat.5e配線で接続
- AGF ⇔ RCS:無線LAN。経路をカバーする無線AP 5局の配置設計・配線・設置に加え、電波測定とAP設定まで当社で実施

AGF通過シーケンス
AGFはシャッタ手前で一時停止し、RCSがModbus TCPでPLCへ開放を要求。PLCがシャッタを開き、全開を確認してからRCSへ応答、AGFが通過します。通過完了の信号を受けてシャッタを閉鎖——「開いたつもり」で突っ込まない、確認応答ベースの安全な連携です。
既設シャッタの制御解析 ― 図面がなくても、回路は現場にある
3社3様・図面なし・改造歴ありの既設シャッタに対し、現地調査で制御回路を1基ずつ解析しました。ひもスイッチや押しボタンの接点がどの回路に入っているかを突き止め、既存の手動操作を殺さずに外部制御を並列(OR)で追加。全開・全閉のリミット信号も取り出し、状態監視に活用しています。既設の使い勝手はそのまま、自動化だけを上乗せする改造です。
結果
- 現地調査から試運転完了まで、当社の現場訪問は合計4日程度。要件定義とシステム提案が狙い通りにはまり、手戻りなくカットオーバーしました
- 人がひもを引いていたシャッタは、AGFの接近に合わせて自動開閉。搬送の完全自動化を実現しました
- 無線インフラ・ネットワーク設計・既設改造まで含めて一社で完結し、多数の関係者間の調整コストを最小化しました
搬送ロボットの導入は、ロボット本体だけでは完結しません。既設設備との連携、通信インフラ、関係者間の要件整理——その「間を埋める」仕事こそ、当社の得意分野です。