QRラベル検査システムの開発 ― コードリーダ4台のマルチヘッド構成と、PLCで挑んだ文字列・マスタ照合処理
電子機器メーカー様 (電子機器製造(基板実装・検査工程))
- コードリーダ
- KEYENCE SR-X
- KEYENCE KV-X
- QRコード検査
- ST言語
- EtherNet/IP
- マスタ照合
- 検査自動化

案件概要
- お客様:電子機器メーカー様
- 設備:基板搬送ライン(ラベル貼付機〜アンローダー)に追設するQRラベル検査システム
- 担当範囲:システム構成・機器選定、制御盤設計・製作、コードリーダの設定・チューニング、PLC・タッチパネルソフトウェア開発、現地設置・調整、取扱説明資料(手順書+動画)の作成
背景と課題
基板に貼付されるQRラベルの品質を、搬送ラインの中で自動検査したいというご要望です。人手の目視に頼っていた「貼付位置ずれ」「印字擦れ」「品番違い」「シリアル番号の重複・欠落」を、ラインを止めずに全数チェックすることが目標でした。
技術的には、一筋縄ではいかないポイントがいくつもありました。
- 検査範囲が広い:基板は最大380×240mm。1台のコードリーダでは視野も分解能も足りない
- 多品種対応:機種ごとに基板の取り数・ラベル位置が異なり、段取り替えのたびに検査設定を確実に切り替える必要がある
- 文字列処理の塊:47桁のQRコードから品番・ロット・流動数を桁位置で抽出し、外部の生産管理データ(CSVマスタ)と照合する——本来PCが得意とする処理を、信頼性と応答性の観点からPLCだけで完結させたい
対応内容

コードリーダ4台のマルチヘッド構成
KEYENCEの固定式コードリーダ SR-X300W(広視野230万画素)を4台配置し、撮像範囲を分担して基板全面をカバーするマルチヘッド構成としました。機種ごとの検査領域・シリアル昇順設定はコードリーダ側の検査プログラムとして登録し、近傍の別コードによる誤読を防ぐ読み込み制限までチューニングした状態で納品しています。
段取り替えは、ハンディコードリーダ(Bluetooth接続)で現場の流動票QRを読むだけ。読取データからPLCがマスタを照合し、4台のコードリーダの検査プログラムをEtherNet/IP経由で一括切替します。作業者が装置に検査設定を打ち込む場面をなくしました。
KV-Xシリーズをいち早く採用、フルST&変数プログラミング
制御にはKEYENCEの新世代PLC「KV-X500」を早く採用。強化された変数プログラミングを活かし、全面的にST言語+構造体・変数ベースで開発しました。
このシステムの本丸は文字列処理です。
- 47桁QRコードのパース:流動票の読取データを桁位置で分解し、機種品番(英数17桁)・ロット(数字10桁)・流動枚数/台数(数字4桁)を抽出。桁数・文字種のチェックで読み違いを異常として弾く
- CSVマスタのPLC内展開:生産管理側から提供される機種マスタ(最大65,535件)・基板マスタをSDカードからPLCの構造体変数に展開し、フォーマット適合チェックの上で照合検索
- シリアル連番の検証:取り数×流動枚数から当該基板の正しいシリアル範囲を演算し、4台の読取結果から重複・欠落を検出
ラダー中心の開発ではデバイス割付だけで破綻しかねない処理ですが、STと構造体による設計で、データ構造がそのままコードに現れる見通しの良いプログラムになりました。

検査ロジック ― 「読めた/読めない」で終わらせない
検査はコードリーダの読取可否だけでなく、PLC側の判定を重ねた多段構成です。
- 貼付・印字位置ずれ:コード部の検査領域を余白約1mmで設定し、領域内不検出をNG判定(検出精度約±1mm)
- 印字擦れ:読取時のマッチングレベル(0〜100)をPLCに出力し、タッチパネルから設定できる閾値と比較
- 品番違い:読取コードから社内品番を抽出し、機種マスタと照合
- シリアル重複・欠落:機種ごとのシリアル範囲と読取結果を突き合わせ
NG時は該当シリアルNo.をタッチパネルの異常画面に表示し、作業者が修正後にその場で再検査して流動を再開できる運用フローとしました。異常は体系化した番号で管理し、履歴は最大2,000件を保持します。
保守を見据えた仕掛け
- タッチパネルに「トラブルシュート用データ保存」ボタンを設置。異常挙動が疑われたらワンタッチでSDカードに状態を保存し、当社に送るだけで遠隔解析が可能
- 取扱説明に動画を採用:段取り替えや基板登録の手順は、紙の手順書に加えて操作動画を完成図書として納品。「読む」より「見る」ほうが早い現場作業に合わせました
結果
- 目視に頼っていたQRラベルの品質確認を、位置ずれ・擦れ・品番・シリアル連番まで含めてライン内で全数自動検査化しました
- 段取り替えは流動票をハンディで読むだけになり、検査設定の切替ミスという人的リスクを排除しました
- KV-X+フルSTによる構造化実装で、マスタ項目の追加や検査条件の変更に強いソフトウェア資産になりました
コードリーダの選定・チューニングから、PLCでの文字列・データ処理、現場に馴染む操作設計、動画マニュアルまで。「検査を仕組みとして現場に定着させる」ところまで踏み込めるのが当社の強みです。