既設装置へのQRラベルプリンタ後付け ― サトーCL4NX-J Plus × 自動復帰ソケット通信
装置メーカー様 (産業機械製造業(既設装置へのトレーサビリティ機能追加))
- ラベルプリンタ
- サトー
- CL4NX-J Plus
- QRコード
- ソケット通信
- 三菱電機
- Qシリーズ

案件概要
- お客様:装置メーカー様
- プロジェクト:既設の生産装置(2ステーション構成)へのQRラベル発行機能の後付け——サトー製ラベルプリンタとPLCの直接ソケット通信
- 構成:既設 三菱電機QシリーズPLC(Q03UDCPU)にEthernetユニット(QJ71E71-100)を増設、サトー スキャントロニクスCL4NX-J Plusと直結
- 担当範囲:通信方式の選定・検証、印字プログラム(独立モジュール)の開発、現地立上げ
背景と課題
ラベルプリンタの電源を入れ直しても、LANケーブルを挿し直しても、現場の誰も何も操作しない——それでも60秒後には、勝手につながって印字が再開する。既設装置への「たかがプリンタ1台」の後付けにも、FAの通信にはこのレベルの無人性が要ります。
- 稼働中の既設装置に、製品トレーサビリティ用のQRラベル発行を追加したい
- 2つの加工ステーションから発行するが、プリンタは1台で済ませたい
- プリンタは消耗品交換や電源断が日常的にある機器。通信が切れるたびに人手で復旧するのでは現場が回らない
- 用紙切れやオフライン中に印字データを送りつけて、ラベルを取りこぼすことも許されない
対応内容
既製ルートを試して、素のラダーを選ぶ
サトーはメーカー公式で、三菱PLC向けの通信プロトコル定義ファイルを配布しています。当社もまず、この既製ルートを試作しました——が、既製サンプルが想定するEthernetインターフェースと、既設装置の世代・構成が噛み合わず、そのままでは使えないことが判明。方針を切り替え、通信部をコマンドレベルから素のラダーで自作しました。設計メモには「ほんとにバイナリ?」という走り書きが残っています。仕様書を鵜呑みにせず、電文の一バイトまで自分の目で確かめる——既製品が使えない場面で戦えるのは、この層まで降りられる制御屋だけです。そして自作したからこそ、リトライもステータス判定も、当社の設計思想で作り込めました。

「挿せばつながる」を、ラダーで実装する
設計メモにはこう書きました。「運転中は常時ソケットオープンをしにいく。自動リトライシーケンス組む」。接続は常時オープン待ち+KeepAlive監視とし、切断を検出すれば60秒周期の自動接続リトライが回数無制限で回り続けます。プリンタの電源入れ直しでも、ケーブルの抜き差しでも、復旧手順はゼロ。当社が通信案件で貫いているプラグアンドプレイ思想です。
1台のプリンタを、2つのステーションで賢く使う
印字要求が立つと、まずENQ(1バイト)によるステータス確認を自走ループで回し、「印字動作の有無」「オンライン/エラー/省電力など9モード」「ラベル・リボンのニアエンド」まで全網羅で判定。「印字動作なし、かつオンライン」のときだけ印字データを送信します。2つのステーションの印字要求は相互インターロックで排他し、シリアル番号の番号帯(01〜50/51〜99)でどちらのステーションのラベルかを識別——プリンタを2台に増やさず、1台を取り合わない仕組みで共用しました。電文はSTX+品番+日時+シリアル番号+ETXの27バイトのみ。レイアウトはプリンタ本体に登録し、PLCは可変データだけを担います。なお追加ソフトは既設メインに書き足さず独立プログラムとして分離し、比較文字もすべて名前付きデバイスに置くなど、お客様側で保守を引き継げる可読性にもこだわりました。

結果
- プリンタ1台で2ステーション分のQRラベル(品番・日時・シリアル番号)発行が稼働し、製品トレーサビリティを確保
- 通信の復旧操作は運用開始以来ゼロを前提とした設計。プリンタの日常的な電源断・用紙交換が「トラブル」でなくなった
- 本案件で確立した「挿せばつながる」通信の作法は、以後の当社の通信案件(温湿度ロガー直結など)の標準アーキテクチャに
ラベルプリンタ業界大手・サトーのCL4NX-J Plusは、素のソケット通信でも素直に会話できる懐の深い一台でした。既製サンプルが使えない構成でも、コマンドレベルから作れるのが当社の強みです。既設装置への機能後付け、まとめてご相談ください。