温湿度ロガー「おんどとり」とPLCの直接ソケット通信 ― KV-Xシリーズ/KV-8000 × パケット解析
素材メーカー様 (素材製造業(温湿度モニタリング・PLC通信の内製化支援))
- おんどとり
- TR-7
- ソケット通信
- KEYENCE
- KV-Xシリーズ
- KV-8000
- TCP
- パケット解析
- 内製化支援

案件概要
- お客様:素材メーカー様
- プロジェクト:温湿度ロガー「おんどとり」(T&D製 TR-7シリーズ)の測定値を、PLCから直接ソケット通信で読み出す通信サンプルの開発と技術レクチャー
- 構成:KEYENCE KV-Xシリーズ/KV-8000(内蔵ソケット通信機能・TCP無手順)、おんどとり TR-7シリーズ、パケット解析用ミラーポート環境
- 担当範囲:通信仕様の解析、通信ラダー(サンプルプロジェクト)の開発、実装報告書の作成、お客様エンジニアへのレクチャー
背景と課題
マニュアル通りに接続したのに、応答を読み出す前に接続が切れる——。市販の温湿度ロガー「おんどとり」の測定値をPLCへ直接取り込みたい、というご相談は、この一筋縄ではいかないTCPの挙動との付き合い方が本題でした。
- 現場の温湿度をゲートウェイPCを介さず、PLCのソケット通信で直接収集したい
- おんどとりの通信仕様は独自のバイナリ電文で、PLCの標準的な通信手順がそのまま通じない
- お客様側で発展プログラムを内製できるよう、流用しやすい構造とレクチャーまで求められた
- FA用途の通信は「電源が入ってLANが挿さっていれば必ず通信する」信頼性が大前提
対応内容
ミリ秒の癖を、パケットから読む
一般的なソケット通信対応機器なら、接続(OPEN)→コマンド送信(SEND)→応答受信(RECV)→切断(CLOSE)の順で流せば済みます。ところがおんどとりは、コマンドに応答すると数十ミリ秒以内に自分からセッションを終了(FIN)する流儀。のんびり受信を待つ作りでは、読み出す前に接続が閉じてしまいます。ミラーポート経由のパケット解析で挙動を確かめ、SEND後は直ちにRECV、FINを受けてクローズ待ち状態を確認してからこちらも切断——という、おんどとり専用の手順にシーケンスを組み替えました。通信のデバッグは、ラダーとパケットの両方を読めて初めて前に進みます。

バイナリ電文を、ラダーで組み立てる
送信コマンドは17バイトの独自バイナリ電文。機器シリアル番号をリトルエンディアンで並べ、制御コード・コマンド・データ長を積んで、チェックサムを計算して締める——この組み立てと、応答電文からの温度・湿度の切り出しを、ニーモニックレベルで作り込みました。機器のIPアドレスやシリアル番号、コマンドはデバイスに置いたパラメータで差し替えられるパラメトリックな構造とし、今後お客様が別のソケット通信機器とつなぐときの雛形として流用できます。

「挿せば、つながる」を作法にする
FA用途の通信プログラムに求められるのは、デモの成功ではなく運用の無人性です。電源が入り、LANケーブルが挿さっていれば、誰の操作もなしに通信が立ち上がり、途切れても勝手に復帰する——古い言葉で言えばプラグアンドプレイ。この作法を前提に通信シーケンスを設計しました。
作って、渡して、教える
納品したのは動くサンプルだけではありません。通信手順・電文構造・PLC設定を整理した実装報告書を添え、お客様のエンジニアへのレクチャーまで実施。発展プログラムはお客様ご自身の手で育てていける形でお渡ししました。
結果
- おんどとりの温度・湿度をKV-Xシリーズ/KV-8000の任意のデバイスへ読み出せることを確認し、サンプルプロジェクト+実装報告書+レクチャーをセットで納品
- パラメトリック構造により、機器追加や他のソケット通信機器への展開はお客様側で対応可能に
- 同じお客様の生産データ基盤構築(PostgreSQL×PLC直結)に続く、PLC×ITテーマの継続案件に
全部を丸投げしなくていい。足りないところ——今回ならTCPのミリ秒の癖とバイナリ電文——だけ、専門家を使う。そんな役割分担のご相談も、当社は歓迎です。