路盤材製造プラントの制御ソフト設計 ― KV-Xシリーズ/KV-8000 × EtherNet/IP分散制御
電気工事会社様(元請) (建設・土木(路盤材製造プラントの運転制御))
- プラント制御
- KEYENCE
- KV-8000
- EtherNet/IP
- タグデータリンク

案件概要
- お客様:電気工事会社様(元請)
- プロジェクト:大型土木工事向け 路盤材(砕石)製造プラントの制御ソフト設計
- 規模:一次破砕・二次破砕の2ブロック×A〜D系の4系統。ベルトコンベヤ28本、クラッシャ12台(高圧・多段始動)、スクリーン8台、フィーダ12台――駆動機器はモータ約70台、動力盤12面
- 構成:KEYENCE KV-Xシリーズ/KV-8000×2台(CPU間はEtherNet/IPタグデータリンクで連携)+タッチパネル2台、EtherNet/IPリモートI/O 7局による分散I/O・電流計測
- 担当範囲:PLC・タッチパネルのソフト設計、シミュレーションによる机上検証、取扱説明書の作成
背景と課題
ベルが三度鳴ってから、プラントは目を覚まします。砕石プラントの起動は、スイッチひとつの出来事ではありません。原石を砕き、ふるい分け、運び出す約70台のモータを、正しい順番で、現場に予告しながら起こしていく――その段取りのすべてが制御ソフトの仕事でした。
- 一次・二次破砕×4系統にまたがる大規模設備で、起動・停止の順序を誤ればベルト上の荷こぼれや詰まり、再起動不能につながる
- 複数系統で共用するコンベヤがあり、1系統の停止が他系統の生産を巻き込んではならない
- クラッシャは高圧受電の多段始動で、始動渋滞の監視など重故障の検出設計が必要
- 重機オペレータへの投入可否の合図や合図ベルなど、砕石現場の保安慣行までシーケンスに織り込む必要があった
対応内容
下流から起こし、吐き出してから止める
順次起動は、製品排出側のコンベヤから上流へ遡り、原石を落とすフィーダを最後に起こす「下流から」の順序で設計。起動前には合図ベルを3回鳴らし分け、現場への予告を挟んでから動き出します。停止はその逆で、異常発生時も下流のベルトは即断せず、載っている荷を吐き出してから遅延停止。さらに系統共用のコンベヤには「他系統が運転中なら止めない」インターロックを仕込み、1系統の異常が全体を道連れにしない構造としました。プラント制御の品質は、動かす順番と止める順番に宿ります。

4系統×2PLCを、ひとつの対称設計で
一次破砕・二次破砕に1台ずつ配置したPLCは、KEYENCEのフラッグシップラインKV-Xシリーズ/KV-8000。CPU間はEtherNet/IPのタグデータリンク(Produced/Consumedタグによるサイクリック通信)で状態・計測値を相互共有し、どちらのタッチパネルからも両ブロックを見渡せる構成に。動力盤12面とはEtherNet/IPのリモートI/O 7局で結び、分散I/OからCT電流のA/D計測までユニット一式で完結——この規模のプラントをPLC2台ですっきり束ねられるのは、KV-Xシリーズ/KV-8000のネットワーク性能あってこそです。A〜D系は同一の制御パターンを系統展開し、設計効率と「1系統壊れても他系統で生産継続」の運用を両立。警報は重故障288点枠×2系統+軽故障の体系で整理し、将来の増設枠まで割り付けてあります。

電流は、プラントの聴診器
全モータのCT電流をリモートI/OのA/Dで取り込み、機器ごとに上限値と超過時間を設定して監視。ベルトの過負荷は軽故障として早めに知らせ、クラッシャは始動電流が引かない「起動渋滞」を重故障として即停止に振り分けました。しきい値はすべてタッチパネルから調整可能。故障してから知るのではなく、電流の顔色で先に気づく設計です。
現場の保安も、机上の検証も
原石投入口には満空レベルと連動した青/赤の信号機を設け、重機オペレータが「今、落としていいか」を一目で判断できるように。合図ベル、各設備の照明の点消灯までタッチパネルから制御します。またソフト側には全機器の模擬アンサと模擬警報40点のシミュレーション機能を組み込み、実機のない段階で順次起動・警報画面を机上で総点検してから現地へ向かいました。
結果
- 4系統・モータ約70台のプラント制御ソフトを設計・納品。系統別の独立運転と保安を両立する運用が可能に
- シミュレーション込みの設計により、現地での手戻りを抑制
- 納入後には取扱説明書の作成、翌年のプラント改造もご依頼いただき、継続的なお付き合いに
コンベヤ1本の機械から、モータ70台のプラントまで――動かすものが増えるほど、順番と段取りの設計が品質を決めます。プラント規模のシーケンス設計こそ、当社にご相談ください。