物流倉庫の結露を防ぐファン制御盤の設計・製作 ― 露点差分監視 × 記録計レスのトレンド記録
建物設備・計装会社様(元請) (物流施設(倉庫換気・結露防止の自動制御))
- 結露防止
- 露点制御
- 換気ファン制御
- 記録計レス
- 物流倉庫

案件概要
- お客様:建物設備・計装会社様(元請)
- プロジェクト:大型マルチテナント型物流倉庫の換気設備向け、結露防止(露点制御)用ファン制御盤の設計・製作
- 構成:KEYENCE KVシリーズPLC+VTシリーズ10.1インチカラータッチパネル、アズビル露点温度センサ、床表面温度センサ(Pt100)、百葉箱、各テナント警報盤。制御対象は4区画×給排気8台=計32台の換気ファン
- 担当範囲:制御盤のハード設計・図面作成、シーケンス・タッチパネル画面設計、盤製作・検査、現地試運転まで一貫対応
背景と課題
換気すればするほど、床が濡れる日があります。梅雨や夏、高温多湿の外気を換気ファンが取り込むと、冷えたコンクリート床面で空気が露点を割り、結露が発生する――保管中の荷物を傷め、フォークリフトのスリップにもつながる、物流倉庫の見えにくいリスクです。
- 結露は「起きてから」では遅く、外気条件と床面温度から発生の直前を捉えて換気を止める制御が必要
- 倉庫はマルチテナント運用のため、区画ごとの床面温度監視と、各テナント事務室への警報通知が求められた
- 「いつ・どこまで湿度が上がって止まったのか」を後から検証できるトレンド記録も欠かせない
- 警報中にオペレーターがスイッチで運転してしまう「善意の誤操作」も防ぐ必要があった
対応内容
「見えない敵」を数値にする ― 露点との差分監視
屋外の百葉箱に設置した温湿度検出器から外気の露点温度を演算し、各テナント区画の床面に敷設したPt100フラットサーモの表面温度と常時比較。結露リスクを「床面温度と露点の差」というひとつの数値に落とし込み、タッチパネルにテナント区画ごとに並べて表示しました。リスクが数字で見えることが、すべての制御と運用の土台になります。

止める勇気をシステムに ― 2段階警報と誤操作防止
温度差が縮まると結露警報レベル1でファンを停止、さらに縮まればレベル2で全停止と、警報を2段階で設計。居室運用の区画では、レベル1では最小限の換気ファン1台を残す部分停止とし、換気と結露防止を両立させました。復帰は発報より安全側のしきい値を越えてから、というヒステリシスで停止と再結露の行き来を防ぎます。しきい値は区画ごとにタッチパネルから現地調整でき、発報値と復帰値の大小関係はソフト側でガードして設定ミスを封じました。そして警報発報中は、遠方スイッチを操作してもファンは動きません。人が気づいて止める、ではなく、システムが止めてから人が確かめる。この設計が結露防止の最後の砦です。

記録計を「置く」のではなく、「作る」 ― 記録計レスのトレンド
参考仕様では、監視盤内に専用の記録計を設ける前提でした。当社はここを、PLCのSDカードロギングとタッチパネルのグラフ画面で「作る」構成に置き換えました。折れ線グラフは系列ごとに表示を切り替えられ、ロギングの開始/停止はどの画面から操作しても全データ連動。記録されたトレンドはSDカードから、警報履歴はSDカード/USBメモリから、いずれもCSVでそのまま取り出せます。専用機器を1台減らして盤内をシンプルにしながら、「CSVで検証できる記録」というお客様が本当に欲しいものは、むしろ手厚く。機器を減らすことと機能を増やすことは、両立できます。
警報を「届く場所」へ ― 監視盤とテナント警報盤
管理人室の監視制御盤では、10.1インチタッチパネルで区画別の温度差・32台のファン状態・警報を一望でき、警報履歴は結露警報1,000件・異常警報500件まで遡れます。あわせて各テナント事務室に警報盤を設置し、ブザーとランプで「いま換気が止まっている」ことをその場の人に知らせます。警報は、監視室に出るだけでは足りません。動いてほしい人のいる場所に届いて初めて機能します。
結果
- 制御盤のハード設計から製作、PLC・タッチパネルソフト、現地試運転まで一貫対応で納入。換気ファン32台の結露防止制御が稼働
- 記録計レス構成で盤内機器を削減しつつ、CSVで取り出せるトレンド記録・警報履歴を実現
- 納入後には年次点検や操作説明のご相談もいただき、継続的なお付き合いに発展
空調・換気・衛生設備まわりの自動制御は、センサ選定から盤製作・ソフト・試運転まで工程が横断します。制御盤1面から、その全部をまとめて任せられる制御屋として、当社をご活用ください。