停電から冷蔵・冷凍設備を守る ― 非常用発電機の自動切替制御と、優先順位による順次負荷投入
化学系材料メーカー様 (化学・材料製造(BCP・停電対策))
- BCP
- 停電対策
- 非常用発電機
- 自動切替
- 負荷制御

案件概要
- お客様:化学系材料メーカー様(工場)
- プロジェクト:非常用発電機の新設に伴う、発電機起動と重要負荷約40系統の商用/発電機切替を制御するPLC・タッチパネルソフトウェアの開発
- 担当範囲:制御仕様の設計、PLC・タッチパネルソフトウェア開発、無負荷試運転・実負荷切替試運転
背景と課題
工場が停電したとき、真っ先に危機に晒されるのは何でしょうか。この工場の答えは「温度」でした。原料・中間品・製品を保管する冷蔵庫・冷凍庫・防爆冷蔵庫の数々——停電が長引けば、保管品の品質リスクに直結します。
そこで非常用発電機を新設し、停電時に重要負荷を発電機側へ切り替えるBCP(事業継続計画)体制を構築することに。その「頭脳」となる制御ソフトを当社が担当しました。制御には、非常用電源ならではの難しさがあります。
- 発電容量は有限:冷凍機など約40系統の負荷を一斉に投入すれば、突入電流で発電機が持たない。「何を、どの順で」生かすかの制御が必要
- 確実に切り替わったことを確認したい:切替指令を出しっぱなしではなく、1盤ずつ切替完了を検証したい
- 非常時にしか動かない:日常運転で不具合が露見しないシステムだからこそ、試運転・保守・段階工事と共存できる仕組みが要る
対応内容

自動モード ― 停電から復電までの一連を無人で
商用電源の停電を4系統の停電検知リレーで監視し、検知すると自動シーケンスが走ります。
- 制御電源の自立:まず制御システム自身の分電盤を発電機側へ切替(発電機起動シーケンスに内包)
- 発電機の起動とリトライ制御:起動指令を出し、起動アンサーを監視。失敗時は設定した待機時間をおいて自動リトライ(回数・待機時間はパラメータ設定可)。それでも起動しなければ異常発報
- 優先順位に基づく順次投入:各負荷には系統ごとに優先順位(1〜99)をタッチパネルから設定でき、停電した系統の負荷を優先順位の高いものから1分間隔で順次発電機側へ切替。同一順位は一斉投入。突入電流を時間軸に分散し、限られた発電容量を最大限に活かします
優先順位が画面から変更できるため、「今の季節はこの冷凍庫を最優先に」といった運用判断を、ソフト改造なしで現場が反映できます。
1盤ずつ検証する切替監視
約40系統すべての切替器に対し、指令出力→アンサー入力の確認応答監視を実装。設定時間内に切り替わらなければ、どの盤かを特定した個別警報(負荷切替異常)を発報します。発電機の起動・停止も同じ作法で監視し、警報は約50点を体系化。リアルタイム表示と最大1,000件の履歴で、非常時の動作を後から検証できます。

「非常時にしか動かない」システムを支える4つのモード
- 自動:停電検知からの全自動シーケンス
- 手動:発電機の手動起動・停止、負荷の個別切替。訓練や計画停電に
- メンテナンスモード:盤単位で制御対象から除外でき、電源盤工事中も他の盤の保護を維持。設定は停電をまたいでも保持されます
- デバッグモード:無負荷試運転用に、切替指令の一定時間後に模擬アンサーをプログラム内で生成。アンサーが返らない試運転段階でもシーケンス全体を検証できます(本稼働後は回路を常時OFF化して残置)
さらに、二期工事で追加予定の負荷群は異常検出の有効/無効を画面から設定可能とし、段階施工の期間中も誤警報なく運用できるようにしました。
結果
- 停電検知から発電機起動、約40系統の優先順次切替までを全自動化し、無負荷試運転・実負荷切替試運転を経て引き渡しました
- 優先順位・リトライ回数・監視時間など運用パラメータを画面設定化し、ソフト改造なしで運用調整できるBCP設備になりました
- メンテナンス・デバッグの各モードにより、工事・訓練・点検と共存できる「使い続けられる非常用システム」となりました
非常用設備は、動く日が来ないことが一番の理想です。それでも「その日」に確実に動くために——普段動かないシステムこそ、シーケンス設計と検証の質が問われます。BCP・停電対策の制御は、当社にお任せください。