防爆環境作業室の酸欠安全対策 ― 酸素濃度6系統の警報再設計と、「ミニSCADA」リモートGPの初採用
化学系材料メーカー様 (化学・材料製造(作業安全・ガス監視))
- 酸欠対策
- 酸素濃度監視
- 安全対策
- 警報設計
- リモートグラフィックパネル
- エムジー RGP30
- リモートIO

案件概要
- お客様:化学系材料メーカー様(工場)
- プロジェクト:窒素雰囲気で酸欠リスクのある防爆環境作業室の安全対策。既設の酸素濃度警報システムの改修・増設と、入室前に濃度を確認できる新規監視システムの構築
- 担当範囲:警報仕様の再設計、既設警報盤・中央監視盤のPLC/タッチパネルソフト改造、新規監視システム(リモートグラフィックパネル)の設計・製作、装置インターロックの論理修正、現地試運転
背景と課題
可燃性雰囲気を避けるために窒素置換を行う防爆環境の作業室では、防爆に有効なその窒素が、人にとっては酸欠リスクと隣り合わせです。ここでは酸素濃度の低下こそが、最も警戒すべきリスクになります。既設では酸素濃度計4台をPLCで監視し、パトライト・ブザーで警報していましたが、運用面の課題が積み残されていました。
- 警報が「消えてしまう」:タッチパネルの警報表示がモーメンタリ型(信号が復帰すると表示も消える)で、一過性の濃度低下に誰も気づけない可能性があった
- 監視範囲の拡大:エリア増設に伴い、酸素濃度計2台と火災警報の追加が必要に
- 「入る前」に確認できない:濃度が分かるのは部屋の中や警報盤の前だけ。これから入室する人が、廊下で安全を確認できる表示が求められた
- インターロックの意味の混線:装置停止に関わる酸素濃度のLO/LL警報と濃度計の故障警報とで、パトライト・停止信号の役割が整理されていなかった
対応内容
警報の「意味」を設計し直す
警報は鳴らせば良いものではなく、一つひとつの信号に「何を意味し、誰に何をさせるか」を定義する設計対象です。本案件ではまず警報仕様を再設計しました。
- ホールド化:全警報を「警報リセット」操作まで保持する方式に統一。一過性の異常も確実に痕跡が残り、リセット時に継続中ならランプは点灯し続けます
- リセット体系の統一:従来の「ブザー停止」を「警報リセット」に改め、表示・パトライト・ブザーを一貫した作法でリセット
- LO/LL/故障の役割分担:装置インターロックは「LL(重度低下)で停止+履歴記録」「LO(注意レベル)はパトライト報知」「濃度計故障は停止信号のみ(パトライトは鳴らさない)」と役割を明確化。警報が"オオカミ少年"にならない設計です
監視範囲の拡張
酸素濃度計2系統と火災警報1点を追加し、計6系統+火災の監視体制へ。既設4系統と同じ作法で警報・表示を実装し、事務所の中央監視盤にも追加警報を展開しました。廊下には新設パトライト(ブザー付き)とリセットスイッチを設け、エリア外への報知も強化しています。

盤の中の「ミニSCADA」― リモートGP(RGP30)を初採用
「入室前に、廊下で6部屋の酸素濃度を一覧したい」——この要望に、監視PCやSCADAを新設するのは大げさです。当社が初採用したのが、エムジー(旧エム・システム技研)の**リモートグラフィックパネル リモートGP(RGP30)**でした。
- 表示部を持たない表示器:本体は盤内収納の小さなユニット。Webサーバーを内蔵し、グラフィック画面をHDMIで市販モニタにそのまま表示。廊下のモニタは支給品を活用しました
- 接続はリモートIOで:酸素濃度計の4-20mA信号を同社のEthernetリモートIO(R7E-SV4×2台)で取り込み、LAN経由でRGP30へ。PLCに手を入れずに監視系を追加できる構成です
- ちょっとSCADA風:作画ソフトでランプ・数値・バーを自由に配置でき、複数端末からのWeb閲覧にも対応。監視用PCを別途構築・保守する必要がなく、「パネルメータでは物足りず、SCADAでは重すぎる」規模にぴったりはまる、独特で面白い製品です

結果
- 一過性の酸素濃度低下も確実に記録・報知される警報体系となり、酸欠リスクへの気づきの網が強化されました
- 入室前に廊下で6系統の濃度を確認できるようになり、「知らずに入る」リスクを低減しました
- 装置インターロックの役割整理により、不要な警報発報が減り、本当に危険な警報の重みが保たれます
- リモートGPによる監視は、アプライアンス型で保守負担が小さく、将来のモニタ増設やスマホ閲覧にも拡張できる構成です
安全対策の価値は、機器の数ではなく「設計の質」で決まります。警報の意味設計から、規模に見合った監視システムの選定まで——ガス雰囲気設備の安全化は、当社にご相談ください。