仮設装置の本設化改造 ― コンベヤ6軸のModbus RTUインバータ制御と、セーフティコントローラによる安全化
化学メーカー様 (化学・素材製造(板材加工工程))
- 安全対策
- セーフティコントローラ
- インバータ
- Modbus RTU
- コンベヤ制御
- 装置メーカー協業

案件概要
- お客様:化学メーカー様(工場)
- プロジェクト:仮納入されていた板材スライサー装置の本設化改造。搬送コンベヤ6軸の追加と、安全柵・セーフティコントローラによる安全化
- 体制:装置メーカー様とのジョイント。機械・装置本体側は装置メーカー様、制御設計・盤改造・電気工事・安全化・試運転調整を当社が担当
- 担当範囲:既設制御盤の改造設計・施工、インバータ盤の増設、タッチパネル新設、コンベヤ制御・スライサー連動のPLCソフト改造、安全機器の選定・取付・配線、現地試運転
背景と課題
評価・立ち上げのため仮設状態で運用されてきたスライサー装置を、正式な生産設備として「本設化」するプロジェクトです。本設化にあたっては、単に据え付け直すだけでなく、次の2つが求められました。
- 搬送ラインの整備:前後工程とつなぐローラコンベヤ・直角搬送機など、搬送機6軸の追加と制御の組み込み
- 生産設備としての安全化:仮設段階では最小限だった安全対策を、安全柵・非常停止・電磁ロックを備えた本来あるべき姿へ
機械側は装置メーカー様、制御・電気・安全は当社——それぞれの得意分野で分担するジョイント体制で臨みました。装置メーカー様の既設設計を尊重しながら、責任分界を明確にして改造を積み上げていく、既設改造ならではの調整力が問われる案件です。
対応内容

コンベヤ6軸 ― 個別インバータ×Modbus RTU通信制御
追加された搬送機6軸には、それぞれ個別の汎用インバータを配置。既設PLC(三菱電機)にシリアル通信ユニットを増設し、6台のインバータをModbus RTUでマルチドロップ接続しました。
- 速度設定・運転状態・警報監視を通信で一括管理。速度はタッチパネルから軸ごとに数値設定でき、従来のボリューム調整を廃止
- 単動/連動の運転モードをタッチパネルで選択。連動時はタイマによる順次起動・順次停止で、搬送物の滞留や衝突を防止
- スライサー本体の運転条件に「コンベヤ順次起動の確認」を組み込み、搬送が整ってから加工が始まる連動制御に
- インバータ6台は放熱・保守交換性を考慮した増設盤に集約し、既設盤の側面へ設置
配線はインバータ1台ごとの制御線を引き回すのではなく、通信線1系統でデイジーチェーン。増設改造でも盤内をすっきり保てるのが、通信制御の利点です。
セーフティコントローラによる安全化
安全対策は「後付けのそれらしい柵」で終わらせず、制御システムとして設計しました。
- 安全柵+電磁ロック:柵の改造設計・施工と、扉2箇所への電磁ロック(KEYENCE GS-M)の選定・取付。運転中は扉が開かない安全構造に
- 照光式非常停止 7式:各コンベヤとスライサー本体に非常停止ボックスを配置。照光式を採用し、どこの非常停止が操作されたか現場で一目で分かるようにしました
- セーフティコントローラの入出力を増設し、全て各個入力に:非常停止・電磁ロックを1点ずつ独立してセーフティコントローラ(KEYENCE GCシリーズ)へ取り込み。既設の安全回路には手を加えず、直列・並列の適切な挿入で安全カテゴリを維持しています
- タッチパネルに安全モニタ画面:どの安全回路が作動しているかを一覧表示。非常停止の解除忘れや原因探しで立ち尽くす時間をなくします
- 将来の増設に備え、セーフティコントローラには標準IO・Safety IOとも予備点数を確保

既設を活かす盤改造
既設制御盤には、タッチパネルの新設(既存の操作ボリューム・旧表示器は撤去)、シリアル通信ユニットとセーフティ入出力ユニットの増設、操作電源回路の分岐追加を実施。図面は既設盤図と改造分の整合を装置メーカー様と調整しながら仕上げ、パネル加工は現地から一旦回収して構内加工することで、現場工事の停止期間を最小化しました。
結果
- 仮設運用だったスライサー装置が、搬送ライン・安全対策を備えた正式な生産設備として稼働を開始しました
- コンベヤ6軸の速度・状態を通信で一元管理し、運転モード(単動/連動)と順次起動制御で日々の段取りが簡単になりました
- 非常停止7式・電磁ロック・セーフティコントローラの各個入力化により、「安全に止まる」だけでなく「どこで止まったか分かる」設備になりました
装置メーカー様の機械技術と、当社の制御・電気・安全技術。それぞれの専門性を持ち寄るジョイント案件は、既設改造・本設化と相性抜群です。「装置はあるが、ラインとして仕上げたい」——そんなご相談をお待ちしています。